octobre 28, 2007 (dimanche)
「ギリシア神話」呉茂一
[amazon] [amazon]
子供の頃よく読んでいたのは、トマス・ブルフィンチの「ギリシア・ローマ神話」。大人になってから参考にしていたのは、アポロドーロスの「ギリシア神話」。ブルフィンチのはオウィディウスの「変身物語」みたいなお話が沢山入っていて、読み物としてとても面白いのだけど、元々は今から英文学を読みたいというアメリカ人のために書かれた入門書ですしね。なんていうか、実際のギリシャ神話よりもかなりロマンティックにされてしまっている部分があるんです。そして逆にアポロドーロスのギリシャ神話にはそういうお話的な面白さは全然なくて、淡々と事実を書き連ねていったという感じ。(もちろん事実ではない部分も多いのだけど・笑) 古代ローマ人によるギリシャ神話なので、これが一番原型に近いという安心感があるし、資料としてもとても役に立つんですけど、相当!無機質なので、物語として読むには全然面白くないんです。(笑)
その2つに比べて、呉茂一さんのギリシア神話は、日本人が書いたものとしては一番読みやすく優れているという評判の本。久々に系統だったギリシャ神話の本が読みたいなと思って手に取ってみました。(アポロドーロスの「ギリシア神話」を訳した高津春繁さんの「ギリシア・ローマ神話辞典」と並ぶ好著なのだとか)
さすがにギリシア文学を多数訳してらっしゃる呉茂一さんだけあって、そういった部分に多く言及されてるのが良かったです。まあ、「イーリアス」「オデュッセイア」をはじめとする主なギリシャ文学を既に読んでる人にとっては復習的なものでしかないと思うんですけど、私がありがたかったのは、ギリシャ悲劇に関する部分! アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスと一通り読んではいるんですけど、歴史的・国家的な背景をよく知らずに読んでた部分もあるので、あの人物はここに繋がるのか~!的な部分でものすごく参考になりました。点と点が繋がって線になる、あるいは線と線が繋がって面になる面白さですね。あと、それぞれの神話のエピソードやそれにまつわる神々の生まれた歴史・社会的背景にも触れられてるので、そういった部分に興味がある人にもとても参考になるのではないでしょうかー。そしてその上で読み物として面白いです。ロングセラーだというのも納得。(新潮文庫)
Posté par 四季 : lien permanent | 本(2007) /(ギリシャ・ローマ系) | commentaire (2) | trackback (0)
septembre 09, 2007 (dimanche)
「ローマ人の物語」8~10 塩野七生 「ガリア戦記」カエサル
[amazon] [amazon]
紀元前100年、ローマの貴族の家に誕生したユリウス・カエサル。ローマ史上最大の英雄・カエサルはどのような時代に生まれて、どのような育ち方をしたのか。どのように世に出たのか。前半はカエサルの誕生から若い頃のエピソードを、後半は2000年経っても未だに世界中で読まれている「ガリア戦記」を中心に、有名な「賽は投げられた」のルビコン川までの、カエサルの前半生の姿を描き出します。
先に読んだ「ローマ人の物語 危機と克服」でも何度も名前が登場していて、塩野七生さんのカエサル好きが伺えるなあと思っていたのですが、やっぱりカエサルの部分には力が入っていますね! 「ガリア戦記」を読む前に、と思って読んだんですが、いやあ、面白かったです。
何が面白かったかといえば、肝心の「ガリア戦記」以前。(あらら) 後に圧倒的な天才ぶりを見せ付けるカエサルですが、実は若い頃のカエサルは借金王のプレイボーイだったんだそうで! お洒落には人一倍気を使うダンディぶりで、これぞと思う女性には贈り物攻撃。でも女性関係が派手な割に、相手の女性に恨まれることが全然なかったのだとか。(ここで塩野七生さんの洞察が鋭いです!) お洒落にお金を使い、女性には高価な贈り物、しかも私費で公共事業なんかもやっちゃうんですから、借金は莫大な額になってます。でもその借金をほとんど気にしなかったというのが、やっぱり大物なんですね。自分の資産を増やそうとするわけではなかったというのもポイントなんでしょう。そして借金が莫大な額になると、債権者と債務者の立場は逆転してしまうんですね。知らなかった。(笑)
そんなカエサルが本格的に芽を出し始めたのは、クラッススとポンペイウスと始めた三頭政治とガリアへの遠征。
ガリアとはギリシャ語で「ケルト」のことなんですよね。(それもあって「ガリア戦記」を読もうと思ったわけです) 位置的には現在のフランスとその周辺で、途中2度ブリタニア(現イギリス)にも上陸しています。ウィンストン・チャーチル曰く、このカエサルの上陸をもって英国の歴史が始まったのだとか。(その発言って英国人としてどうよ? と思ってしまいますが) このガリア戦記の部分から見えてくるのは、カエサルの戦略や決断の確かさ、そして度量の広さ。「お前達の命よりも私の栄光が重くなったら指揮官として失格なのだ」なんて発言もあって、部下の心の掴みもばっちり。やっぱりプレイボーイとして遊んで人生経験を積んでいたからこそでしょうかー。(笑) 時には同盟していたはずのガリア人に裏切られることもあれば、味方の兵士たちが浮き足立ってしまうこともあるんですけど、その戦略家としての手腕は確かですね。勝った後の敵の扱い方とかも、見てるとやっぱりすごいなって思っちゃう。
で、「ローマ人の物語」の後に「ガリア戦記」も読みました。やっぱり「ローマ人の物語」を先に読んでおいて良かった、というのが正直なところ。ガリア人の部族名の訳などが微妙に違うので、その辺りは分かりづらかったんですけど、その時ローマでは何が起きていたか、なんてことは「ガリア戦記」だけでは分からないですしね。塩野七生さんが作り上げたカエサルの造形もあいまって、単体で読むよりもかなり理解できたのではないかと。(新潮文庫・岩波文庫)
+シリーズ既刊の感想+
「ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず」1・2 塩野七生
「ローマ人の物語 ハンニバル戦記」3~5 塩野七生
「ローマ人の物語 勝者の混迷」6・7 塩野七生
「ローマ人の物語」8~10 塩野七生 「ガリア戦記」カエサル
「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前」8~10 塩野七生(再読)
「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以降」11~13 塩野七生
「ローマ人の物語 パクス・ロマーナ」14~16 塩野七生
「ローマ人の物語 悪名高き皇帝たち」17~20 塩野七生
「ローマ人の物語 危機と克服」21~23 塩野七生
「ローマ人の物語 賢帝の世紀」24~26 塩野七生
「ローマ人の物語 すべての道はローマに通ず」塩野七生
+既読の塩野七生作品の感想+
「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」塩野七生
「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」塩野七生
Posté par 四季 : lien permanent | 本(2007) /(ギリシャ・ローマ系) /(岩波文庫) | commentaire (0) | trackback (0)
septembre 03, 2007 (lundi)
「ローマ人の物語 危機と克服」21~23 塩野七生
[amazon] [amazon] [amazon]
紀元68年の皇帝ネロの自死から、紀元97年の五賢帝の最初の1人・トライアヌスの登場までの29年間は、ガルバ、オトー、ヴィテリウス、ヴェスパシアヌス、ティトゥス、ドミティアヌス、ネルヴァという7人次々にが即位することになったという、ローマ帝国史上における「危機と克服」の時代。タキトゥスの「歴史」他の資料を元に、塩野七生さんが自分の考えも交えながら描き出していくローマ史です。
最近、リンゼイ・デイヴィスのファルコシリーズ(感想)にハマってるんですが、そのシリーズを読みながら、この時代についてもっと知りたいなあと思ってたんです。この「ローマ人の物語」は通読するにはかなり長いけど、ローマ帝国500年の歴史を年代順に追ってるので、読みたいところを集中的に読むのに便利ですね! しかもヴェスパシアヌス帝という、どちらかというと地味な時代のことを知りたいなら尚更。(笑)
いやあ、面白かったです。主要な登場人物の名前が既に頭に入ってるっていうのも大きいかもしれませんが、もしそうでなかったとしても、これならきっと面白く読めたはず。学者の書く歴史とは違う、作家として描き出す歴史は、読み物としてすごく面白いし、しかもすごく分かりやすかった。暴君として悪名高いカリグラやネロ、そして五賢帝の時代に挟まれて、どうしても地味に思われがちなこの時代なんですけど、いやあ、全然地味じゃないです。スペイン北東部の属州総督としては公正な統治をしていたたガルバ、ルジタニア属州の総督として善政が評判だったオトー、特に何もしてはいなかったけれど、マイナス材料もなかったヴィテリウスの3人が、なぜ皇帝としては失敗だったのか、3人の相次ぐ死で乱れ切っていたローマ帝国を、なぜ「田舎者丸出し」だったヴェスパシアヌスが立て直すことができたのか、よーく分かりました。それぞれの人間性が丁寧に描かれていくことによって、すごく説得力が出てきますね。
ファルコシリーズでは、ヴェスパシアヌスとティトゥス、ドミティアヌスが登場してて、3人ともファルコに散々な言われようをしてたりするんですけど、あれはまあ愛情の裏返しということで…。(笑) やっぱりこの3人の堅実ぶりはいいですね。カエサルのようなカリスマ性はなくても、華々しい偉業がなくても、日々の地道な努力で帝国を安定させ、繁栄させることは十分可能だということなんでしょう。最後のドミティアヌスは15年の治世の後に暗殺されてしまうんですけど、その彼にしたって、悪い皇帝だったとは思えないです。何よりも健全な財政を次世代に引き継いだというのが大きいし… この3人がいたからこそ、五賢帝が五賢帝でいられたとも言えそう。
古代ローマには以前から微妙な苦手意識があったんですが、どうやら払拭できそうな予感です。(新潮文庫)
+シリーズ既刊の感想+
「ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず」1・2 塩野七生
「ローマ人の物語 ハンニバル戦記」3~5 塩野七生
「ローマ人の物語 勝者の混迷」6・7 塩野七生
「ローマ人の物語」8~10 塩野七生 「ガリア戦記」カエサル
「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前」8~10 塩野七生(再読)
「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以降」11~13 塩野七生
「ローマ人の物語 パクス・ロマーナ」14~16 塩野七生
「ローマ人の物語 悪名高き皇帝たち」17~20 塩野七生
「ローマ人の物語 危機と克服」21~23 塩野七生
「ローマ人の物語 賢帝の世紀」24~26 塩野七生
「ローマ人の物語 すべての道はローマに通ず」塩野七生
+既読の塩野七生作品の感想+
「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」塩野七生
「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」塩野七生
Posté par 四季 : lien permanent | 本(2007) /(ギリシャ・ローマ系) | commentaire (4) | trackback (0)
août 26, 2007 (dimanche)
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
[amazon] [amazon]
紀元74年夏。ファルコが元執政官のルティリウス・ガッリクスに誘われて開いた合同の詩の朗読会は、皇帝の次男・ドミティアヌス・カエサルも臨席し、大成功のうちに終わります。その翌日、ファルコの元へやって来たのは、「黄金の馬」出版工房の経営者のエウスケモン。オーナーのクリューシップスがファルコの詩を気に入ったので、出版しないかと言ってきたのです。しかし翌日、ファルコが出版工房を訪ねた直後、クリューシップスは何者かに殺されて… という「亡者を哀れむ詩」と、ブリタニア王・トギドゥブヌスの宮殿の建設に不正があるらしいと聞きつけた皇帝がファルコに現地調査を命じ、ヘレナやその2人の弟らと共にブリタニアへと行くことになる「疑惑の王宮建設」。
ファルコシリーズの12作目と13作目。
このシリーズは、ファルコがローマ市内で事件を解決するか、皇帝の命令で外国に遠征するか、大体どっちかのパターンなんですけど、やっぱり外国での話の方が基本的に面白いです。特にブリタニア! 1巻以来! ということで、13作目の「疑惑の王宮建設」に思わず食いついてしまいます。なんでローマ皇帝がブリタニア王の宮殿建設に口を挟むかといえば、この建設資金がローマ皇帝から出てるから。そしてなんで万年赤字状態のローマ皇帝ウェスパシアヌスがブリタニア王の宮殿なんか建てるかといえば、ブリタニア王とウェスパシアヌスは、お互いに今の地位を得る前からの知り合いで、ウェスパシアヌスが帝位につくにあたって、ブリタニア王の尽力が大きかったから。ということのようです。建築士や測量士、国内外の労働者をまとめる監督たち、造園師、石工、モザイク師、フレスコ画家、配管技師… 色んな人が働いてる宮殿建設場面がなんか楽しくて好き~。ヘレナの2人の弟も出てくるし~。(ユスティヌスは私の中ですっかり株が落ちてしまって、アエリアヌスの方が不器用ながらも可愛くなってきてるんですが… やっぱりユスティヌスにも早く挽回して欲しい!) 本当は「亡者を哀れむ詩」では古代ローマの出版業界なんてものが登場して、色んな作家の話が出てきて、こちらも楽しいはずなんですけどね… 事件がちょっと小粒すぎたかも。
ファルコシリーズの邦訳は、現在14冊まで。私が読んでるのは全部借り物で、14冊目まで借りてるかと思い込んでたんですが、手元には13冊目までしかありませんでしたー。あと1冊も借りてこなくっちゃ。(光文社文庫)
+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス
Posté par 四季 : lien permanent | 本(2007) /(ギリシャ・ローマ系) | commentaire (2) | trackback (0)
août 16, 2007 (jeudi)
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
[amazon] [amazon]
即位の時に大々的な国勢調査実施を命じていた皇帝ウェスパシアヌス。その皇帝が、申告額を誤魔化しを発見し、査定のやり直しをさせるために雇ったのがファルコ。そしてまず査察の対象となったのは、剣闘技の訓練師や興業師(ラニスタ)たちでした。しかしそんな時、「水路の連続殺人」の犯人の処刑を担当するはずの人喰いライオン・レオニダスが何者かに殺されるという事件が… という「獅子の目覚め」と、神官の家の中のゴタゴタをめぐる「聖なる灯を守れ」。
密偵ファルコシリーズの10作目と11作目。9作目の「水路の連続殺人」から、ファルコのパートナー探し3連作となっています。随分意外な相手とも組むことになってびっくり。でもファルコを取り巻く環境が少しずつ変化してるので、それもまた自然な流れなのかもしれませんー。相手の意外な素顔が見れるところも楽しくて。
国勢調査といえば… そういや聖書の福音書にこんな文章がありました。「そのころ、全世界の人口調査をせよとの勅令が、皇帝アウグストから出た。これは、クレニオがシリアの総督であった時に行われた最初の人口調査であった。」 キリストが生まれる直前の話で、この勅令が出たためにヨハネとマリアが故郷に向かって急ぐんですね。毎年クリスマスの頃になると暗誦させられていたので、今でも丸ごと覚えてたりします。(笑)
アウグストというのは、初代ローマ皇帝のアウグストゥス。一応、キリストが生まれた年が紀元元年で(実際には若干ズレがあるそうですが)、キリストは30代半ばで亡くなってるので、それが紀元30年前後のはず。 密偵ファルコのこの時代は、紀元70年頃。ほんの40年前のことなんですねえ。しかも、「聖なる灯を守れ」にはベレニケというユダヤの王女が登場してるんです。この人の曾祖父が、イエス・キリストが生まれた頃に、救世主の到来を恐れて2歳以下の幼児を虐殺させたという噂のあるヘロデ王。ふと気づくと、ちょっとしたところで繋がってくるのが歴史物の面白いところですね。読んでるうちに点と点が繋がって線になっていくのって、嬉しいな。このまま線と線が繋がって面になっていく… といいのだけど。(笑)(光文社)
+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス
Posté par 四季 : lien permanent | 本(2007) /(ギリシャ・ローマ系) | commentaire (0) | trackback (0)
août 12, 2007 (dimanche)
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
[amazon] [amazon]
ヒスパニアのバエティカ・オリーブ油生産者協会の饗宴に出席したファルコは、同じく出席していた密偵頭のアナクリテスやほかの密偵がその帰宅途中に襲わたのを知り驚きます。どうやら自分も襲われるはずだったらしいのです。事件にはヒスパニアから来た踊り子が関係しているらしく、しかも調べているうちに、オリーブ油闇カルテル疑惑も浮上。ファルコとヘレナはヒスパニアへと向かうことに… という「オリーブの真実」と、ローマの上水道を流れてきた人間の手を発見したファルコとペトロが猟奇殺人犯人を追う、「水路の連続殺人」。
密偵ファルコシリーズ8作目と9作目です。
「オリーブの真実」は、ひたすらオリーブオイルの話。オリーブオイルが様々な用途に使われてきたというのは知識として知っていても、こうして実際に物語で読むとまた違いますね。料理にはもちろん、入浴後の肌の保湿剤として(男女問わず、貧富の差を問わず、生活必需品だったようです)、ランプの燃料として、香料や医療品の基材として用いられており、もちろん実も食用。前巻の出来事も伏線になって、物語のオチまでオリーブオイル。(笑) ただ、ヒスパニアに行くのはいいんだけど、肝心のオリーブオイル闇カルテルにまつわる話がイマイチだったような気もするんですけどね…。
そして「水路の連続殺人」は、ローマで起きた連続猟奇殺人の犯人探し。ミステリですねえ。どうやらこの9作目から3冊は、ファルコの仕事のパートナー探し編にもなってるようです。最初にパートナーになるのは、親友のペトロ。でも、同じように日頃悪を追う仕事をしていても、そのやり方は全然違うんですよね。やっぱり仕事と友情は別々にしておいた方が無難でしょ、と言いたくなるような状態で…。ペトロが警備隊長のまま協力するなら、衝突しつつもなんとか上手くいくのでしょうけれど、なんとペトロは停職中なのでした。
今回面白かったのは、古代ローマの上水道に関する薀蓄。古代ローマの上・下水道は、相当素晴らしいものだったようですね。都市や工場地に水を供給するために多くの水道が建設され、ローマ市内では実にのべ350キロ(260マイル)もの長さを誇る水道が、日々市民に大量の水を供給していたのだとか。しかもその大部分が地下に埋め込まれていたんですって。水に含まれる石灰で水道管が詰まってしまわないように管の掃除も不可欠だったようで、そんな仕事をしてる人も登場します。でも何といっても良かったのは! 後にローマの水道管理委員として水道に関する著作を残したというユリウス・フロンティヌスが登場すること。この事件をきっかけにして水道に興味を持つようになっただなんて、上手いなあ。自らまめに動き回って仕事をこなすフロンティヌス、なかなかいい味を出していたので、これからも登場してくれるといいな。(光文社文庫)
+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス
Posté par 四季 : lien permanent | 本(2007) /(ギリシャ・ローマ系) | commentaire (0) | trackback (0)
août 10, 2007 (vendredi)
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
[amazon] [amazon]
皇帝一家がファルコへの大事な約束を反故にしたおかげで、ヘレナは激怒。皇帝の仕事は金輪際受けないようにと、ファルコに厳命。そんな時、密偵頭のアナクリテスが持ってきた仕事は、最近ローマ帝国によって鎮圧されたばかりのナバテアでの情報収集の仕事でした。そして丁度その頃、蛇使いのタレイアからも、男と一緒に中東に逃げた水圧オルガン弾きの娘をローマに連れ戻すようにとの依頼があり、ヘレナとファルコは、結局ナバテアへと向かうことに。しかしナバテアの拠点ペトラの町に到着した途端、2人は殺人事件の被害者を発見。監視人付きでペトラを追放されてしまい… という密偵ファルコシリーズ6作目「砂漠の守護神」と、7作目の「新たな旅立ち」。
「砂漠の守護神」は、全編通して旅先での話。ひょんなことから、被害者が旅芸人一座の台本作家だったのを知ったファルコは、その後釜として旅芸人一座に加わって、町から町へと回ることになります。ヘレナとファルコは旅芸人一座に加わった時から、時間は内部の人間の犯行だと見て犯人探しを始めるし、実際、事件は1つでは終わらないので、今回はミステリ風味が強いです。でもどこが面白かったといえば、ミステリ部分そのものよりも、旅芸人一座の生活ぶりとか、その旅の様子だなあ。主な舞台となるのはローマ領シリアの「十の町(デカポリス)」なんですが、それぞれの町の描写もすごく詳しいんですよね。…でもヘレナやファルコを見てると、中東に行くのもブリタニアやゲルマニアに行くのとそれほど変わらないように見えるんですが、この時代の旅って実際どうだったんだろう? 旅そのものは大変でも、中東って今の時代よりも近い存在だったのかしら。少なくとも今の時代だと、シリアなんて、おいそれと気軽に旅行に行けるような場所じゃないですよね。なので、そういう意味でも楽しかったです。
そして「新たな旅立ち」は、打って変わってローマでの話。題名からすると、まるでファルコとヘレナに新しい展開があったように思えてしまうんですけど、違いました。(笑) 旅立つのは、死罪を言い渡された大犯罪人。ローマ時代、死罪を宣告された犯罪者には、旅の用意をして家族に別れを告げ、逃げ出す権利が認められてたんですって。死罪を言い渡されるほどの犯罪者なのに?! とびっくりなんですが、その方が国家にとって安上がりで助かったらしく… そんなことでいいのかなあ。今回も、その大犯罪者が出国するところをファルコもその目でしっかり確かめるんですけど、案の定、それだけでは済みませんでしたよー。江戸時代の所払いの方が、しっかり追放されそうです。ローマには関所なんてないですしね。(笑)(光文社文庫)
+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス
Posté par 四季 : lien permanent | 本(2007) /(ギリシャ・ローマ系) | commentaire (0) | trackback (0)
