juin 21, 2007 (jeudi)

「ささやかな魔法の物語 カフェ・かもめ亭」村山早紀

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古い歴史を持つ海辺の町・風早の街の明治時代からの洋館が今も建ち並ぶ辺り、表通りから一歩裏道に入った静かな石畳の道沿いにある、カフェ・かもめ亭。暗い色のオークの木と煉瓦で作られたどっしりとした建物は、その昔帆船やイギリスのパブをモデルに作られたもの。店の真ん中に置かれた小さな自動ピアノがいつも耳に慣れた優しい曲を奏でており、店の扉にはめ込まれた人魚とかもめのステンドグラスからは、どこか魔法めいた色合いの光が差し込んで木の床を染め、店の壁には沢山の絵が飾られています。そんな素敵なお店が舞台の連作短編集。

掲示板でぽぷらさんが教えて下さって読んだ本。なんですが、本を手に取ってみて、あれ? そうそう、この本。sa-kiさんも読んでらっしゃいましたねー。(記事
曽祖父の代から続く店を今受け継いでいるのは、まだマスターになってほんの数年だという広海(ひろみ)。出てくるのはコーヒーだったり、紅茶だったり、ロイヤルミルクティーだったり、時にはお酒をたらしたアイリッシュコーヒーだったり… そしていかにも居心地の良さそうなお店に訪れたお客が広海に向かって語るのは、どこか不思議な物語。ちょっぴり不思議で、ほんのり切なくて、それでも聞いた後に暖かい読後感が残るような物語。人間、幸せなことばかりではないけれど、悪いことばかりでもないよね、そんな気分になります。
私が特に気に入ったのは雑貨の輸入販売をしている寺嶋青年がディンブラのアイスティーを飲みながら語る、今の仕事を始めたきっかけとなった子供の頃の物語「万華鏡の庭」と、久しぶりにやって来たかおるちゃんがエスプレッソを飲みながら語る、小学校の頃に仲良しだった茶とらの猫の「ねこしまさんのお話」。BGMはそれぞれ「シェエラザード」と「ワルツ・フォー・デビー」。大きなスケッチブックを抱えて店に入ってきた高校生の澪子さんが甘いミント・ミルクティーを飲みながら語る、小さい頃からよくみる夢、砂漠を旅する夢の話の「砂漠の花」も良かったなあ。こちらのBGMは「展覧会の絵」。
読んでると、なんだか自分もこのかもめ亭の中でゆったりとお茶を飲んでるような感覚になるんです。素敵でした。久しぶりの日本人作家さんの作品だったので、尚更和んでしまったかも。

「銀の鏡」の真由子と「ねこしまさんのお話」のかおるの話が重なるので気になっていたんですが、あとがきを読んでみると、どうやら村山早紀さん御自身がこういうタイプの女の子だったようですね。「いつも胸の奥に、たくさんのすり傷や切り傷を抱えていて、うつむいて歩」き、自分だけが普通でないような気がして、みんなの中に入って行けなくて悩んでいた女の子。本が友達で、本の世界に入っていくことでやっと息をつくような毎日。「明日、読みかけの本のつづきを読むために、わたしは生きていたのです」という言葉がとても強く印象に残りました。(ポプラ社)


+シリーズ既刊の感想+
「ささやかな魔法の物語 カフェ・かもめ亭」村山早紀
「人魚亭夢物語」村山早紀
「コンビニたそがれ堂」村山早紀
「百年めの秘密」
「やまんば娘、街へゆく」「七日間のスノウ」村山早紀

Posté par 四季 : juin 21, 2007 05:00 PM | 本(2007) | commentaire (6) | trackback (2)


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村山早紀「〓カフェ・かもめ亭〓 ささやかな魔法の物語」ポプラ社 [Amazon] [bk1] 評価:★★★★★ 海辺の街で70年近く続いている喫茶店かもめ亭。... » Lire la suite

Trackback par Breezy days : juin 22, 2007 06:44 PM

» 「カフェ・かもめ亭 ささやかな魔法の物語」/こんなお店があったらいいな
村山 早紀, 朝倉 めぐみ 「ささやかな魔法の物語―カフェ・かもめ亭 (ポプラの木かげ) 」 カフェ・かもめ亭は、ノスタルジックな素敵な喫茶店。海辺... » Lire la suite

Trackback par 日常&読んだ本log : août 26, 2007 09:19 AM


Commentaires

四季っちこんにちは~。
私が読んだことを覚えててくださって感激です。
カフェ好きには垂涎の設定でしょう?
美味しそうなドリンク類、お洒落な音楽や絵画、そして素敵なマスター。
なんとも居心地のよさそうなカフェ♪
そのうえ、不思議だけど後味の良い話が次から次へと。
こんなお店が実際にあったら入り浸っちゃいそうです。
(家に帰らず、住みついてしまうかも)

Posté par sa-ki : juin 22, 2007 06:52 PM

sa-kiっち、こんにちは~。
他ならぬsa-kiっちが読んでた本ですもん。ピン!ときました。^^
ほんとカフェ好きには堪らない店ですね、こんな店が実際にあったら絶対通っちゃう!
きっとこのマスターも、レベル21のアンジュさんのような素敵な部屋に住んでるんでしょうね。
読みながら、色々想像してしまいました。(^^ゞ

風早街シリーズ、調べてみたら他にも色々あるようですね。
少しずつ読んでみたいです。素敵なお店がいっぱいありそうで楽しみ♪

Posté par 四季 [TypeKey Profile Page] : juin 23, 2007 06:19 AM

はじめまして!
シャンナ・スウェンドソンを検索していて、こちらにたどりついたのですが、カフェかもめ亭にすっかり魅せられました。ステキな“カフェ”を教えてくださってありがとうございました。
またお邪魔します。そしてステキな物語に出会いたいと思います。

Posté par きゃろる : juin 26, 2007 02:35 PM

きゃろるさん、はじめまして! ようこそいらっしゃいました。
シャンナ・スウェンドソンもいいですよね~。ケイティのシリーズ、大好きです。
そしてこちらのカフェかもめ亭もとても素敵なので、ぜひ手に取ってみてくださいね。
これがお好きなら、さとうまきこさんの「レベル21 アンジュさんの不思議ショップ」もオススメです。^^
(こちらは児童書ですが… かもめ亭はYAかな?)

Posté par 四季 [TypeKey Profile Page] : juin 27, 2007 08:10 AM

四季さん、こんにちは~。
とても素敵なカフェで、堪能しました!
こういう不思議は心が癒されますね。
「コンビニ」の方も気になるので、そのうち読んでみようと思います♪
*記事中引用&トラバさせていただきました。

Posté par つな : août 26, 2007 09:40 AM

つなさん、こんにちは~。
わあ、読まれたのですね!
ほんと素敵なカフェですよね~。
実際に身近にあったら毎日のように通ってしまいそうです。(笑)
「コンビニ」も面白かったのでぜひぜひ。
早速記事を拝見させていただきますね。^^

Posté par 四季 [TypeKey Profile Page] : août 28, 2007 06:26 AM



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