juillet 11, 2006 (mardi)
「南の島のティオ」池澤夏樹
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最近sa-ki さんに教えて頂いた本が続いてますが、これもそうです。たらいまわし企画・第24回「五感で感じる文学」で出してらした本。(記事) 実は、池澤夏樹さんの作品を読むのは初めて。以前、須賀敦子さんが、「本に読まれて」の中で池澤さんの作品を何度も取り上げてらして、気になってたんですけど、なかなか機会がなく… ようやく読めました。
これは南の島に住むティオという12歳の少年を中心にした連作短編集。ティオは、父親がホテルを経営しているので、ジープを運転して父親と一緒に空港にお客を迎えに行ったり、観光客を山に案内したりもするんですけど、基本的に長閑な日々を送ってます。(観光客の案内や世話自体も、長閑な感じなんですが) そもそも、この島の人間は、政府や学校みたいなところで働いているんでなければ、大抵は気の向くままに海で魚を採ったり、山の畑を耕したりという暮らしぶりなんですよね。そして、そんなティオの島では時々、島の神さまや精霊の存在を感じさせる不思議な出来事が起こります。そういった出来事は、案外大きなことだったりするんだけど、でもあまりに自然なので、気がつかない人は気がつかないまま通り過ぎちゃう。この自然さは、例えば沖縄の人がマブイを持っているというような感じに近いかなあ…。不思議なことが起きるという意味ではファンタジー作品と言えるんですけど、どちらかといえば、もっと普通の、本当にあった話を聞くような感覚で読んでました。
私が読んだ本ば文庫本でしたけど、元々は児童書として刊行された本なんですね。道理で… という柔らかさが心地良いです。読んでいると、青い空と白い雲、眩しい陽射し、そよぐ風、真っ青な海といった、南国ならではの情景が目の前に広がるよう。なんだか、自分まで長閑に島の生活を送ってるような気がしてきてしまいます。日々の生活で、肩凝りのような状態になってた心が、柔らかく揉みほぐされるような感じ。
10編の短篇が収められているんですが、私が一番好きだったのは、受け取った人が必ず訪ねずにはいられないという絵はがきを作る、絵はがき屋のピップさんの話。あ、でもこれは不思議なことがごく自然に起きる話ではなくて、一番「書かれたファンタジー」っぽい作品なんですけどね。でもこのピップさんが、この1編だけにしか登場しないのは残念だったなあ。あと、「星が透けて見える大きな体」も好き。長閑な雰囲気が一変、この1編だけ現実の厳しさが迫ってくるような「エミリオの出発」も好きです。(文春文庫)
+既読の池澤夏樹作品の感想+
「南の島のティオ」池澤夏樹
「スティル・ライフ」池澤夏樹
「真昼のプリニウス」池澤夏樹
「夏の朝の成層圏」池澤夏樹
「バビロンに行きて歌え」池澤夏樹
「神々の食」池澤夏樹
Posté par 四季 : juillet 11, 2006 09:00 AM | 本(2006) | commentaire (4) | trackback (3)
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Trackback par Breezy days : juillet 11, 2006 06:25 PM
» 『南の島のティオ』を読む
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Trackback par 旅に、グルメに、読書に、映画……週末ライフの過ごし方 : juillet 22, 2006 12:12 PM
» 池澤夏樹『南の島のティオ』(文春文庫)
始め通勤電車で読んでいたのだけれど、もったいなくなって 家でゆっくり読むことにした。 それくらい世界観が強い、というか読者を南の島へと連れてっていくものだから... » Lire la suite
Trackback par 門外漢の独り言 : février 10, 2008 12:55 AM
Commentaires
四季っち、こんにちは~♪
最近、いっぱい私の名前が出てきて嬉しいやら、恥ずかしいやら(^^ゞ
こちらのブログの準レギュラーみたいですね、私(笑)
私もこの本を読んだ時、沖縄っぽいなぁって思ったんです。
精霊もいて当たり前、てな感じですし、
カマイ婆なんてユタみたいですよね。
私が好きな話は、「絵はがき屋さん」「十字路に埋めた宝物」
「星が透けて見える大きな身体」でした。
ピップさんは、ほんとにあの1編だけとは勿体無~い。
忘れたころに現れては不思議なものを見せて、
すぐまたぷいといなくなる、という感じで
時々登場してくれたら嬉しかったのに。
Posté par sa-ki : juillet 11, 2006 06:40 PM
sa-kiっちの準レギュラーは大歓迎!
素敵な本を色々教えて下さってありがとうございます~。
阿刀田さんの「新トロイア物語」はまだ見つけてないんですが、
「神統記」「ヘレネー誘拐・トロイア落城」は買ってきちゃったので
また近々登場すると思います。(笑)
あ、sa-kiっちも沖縄っぽい雰囲気を感じてらっしゃいましたか。
そうですよね。ほんとカマイ婆はユタみたい。
マブイのような話が出てこないのが、不思議なくらいだなと思ってたんです。
「十字路に埋めた宝物」も良かったですね。
彼が昔住んでたところでは、子供でもやってたって言ってたでしょう?
…そんなに色んな物が埋まってたら、取られちゃわないかな?
なんて思っちゃったんだけど…
その島の人たちは、そんなこと考えもしないんでしょうね。
そういうことを考えてしまう自分がイヤだわあ(^^;。
Posté par 四季
: juillet 12, 2006 06:05 AM
TBさせていただきました。
お薦めいただきましたので、読みました。
グッドでしたが、なんか汚れてしまった自分が
恥ずかしくなるくらい美しいお話ばかり。
ぼくにはもっと薄暗い世界がいいのかもしれません。
しかし、四季さんのいうように、目の前に情景が
ばっと広がってしまう作品の力に驚き、
そしてまた感謝いたしました。
それにしても、ティオが絵はがきを使うときが気になります。
池澤さん書いてくれないかなぁ、とか思いました。
Posté par 門外漢 : février 10, 2008 12:54 AM
門外漢さん、こんにちは!
あはは、この世界は美しすぎましたか…(^^ゞ
これが私にとって初池澤作品だったこともあって、これが基本になっちゃったんですけど
たしかに他の作品はもっと薄暗かったりしますものね。
これは元々は児童書として書かれているそうなので、ちょっと違うのかも…
でもこの目の前に広がる情景! これは本当に美しいですよね。
ティオの絵はがきの話ももっと読みたいですね。
TBありがとうございます。後ほどお伺いさせていただきますね。
Posté par 四季
: février 11, 2008 06:39 AM
