mai 16, 2006 (mardi)

「カメレオンのための音楽」トルーマン・カポーティ

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トルーマン・カポーティの生前最後に出版されたという作品集。「序」には8歳の時に文章を書き始めて以来、自分なりの文学修行に励み、17歳の時に主だった文芸季刊誌に送った原稿が認められてデビュー。それ以来様々な試みをしながら、最終的に物語風ジャーナリズムに惹かれるに至った心情が書かれています。そして作品は3部に分かれて、全14編が収められています。

カポーティの作品は、確か中学の頃に「ティファニーで朝食を」を読んだきりなんですが、その時とはまた全然イメージが違ってびっくり。なんと、南部出身の方だったんですか! 「ティファニーで朝食を」のイメージそのままの、お洒落で都会的なニューヨーカーかと思ってました。でも、確かにこの作品集を読んでみると南部を舞台にした作品が多いし、南部を舞台にしていない作品にも、どこか南部の濃密な空気がまとわりついているよう。
「序」に、控えめに書くのを好み、単純ですっきりとした仕上がりを目指して試行錯誤した上で書きあがったのが「カメレオンのための音楽」だと書かれているように、すっきりと無駄のない文章。でもすごく雄弁なんですよね。作品の中には、トルーマン・カポーティ自身が「TC」として登場することもあるんですが、ノンフィクションともフィクションとも言い切れない不思議な雰囲気。というか、「TC」が登場すればするほど、フィクションに感じられてしまうのはなぜかしら。この中で私が特に好きだったのは、表題作の「カメレオンのための音楽」。ここで描かれているのは、色とりどりのカメレオンがモーツアルトに聞き入っている不思議な情景。会話が行き違い、宙ぶらりんのまま打ち切られてしまう短編には、とても存在感があります。あとは、姉御肌の女優の機転が楽しい「命の綱渡り」や、マリリン・モンローとのやりとりを通して、素顔のマリリンを間近に見ているように感じられる「うつくしい子供」も好き。
でも作品も印象的なんですが、「序」がまた良かったです。「神が才能を授け給うにしろ、必ず鞭を伴う。いや、鞭こそ才能のうちなのだ。自らを鞭打つ。」とか、「単に出来のよい作品と本物の文学とには相違がある。この違いは些細なようにみえて、決定的、根源にかかわる。」とか… ちょっと「おおっ」と思うでしょう?(ハヤカワepi文庫)


+既読のトルーマン・カポーティ作品の感想+
「カメレオンのための音楽」トルーマン・カポーティ
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Posté par 四季 : mai 16, 2006 05:00 PM | 本(2006) /(ハヤカワepi文庫) | commentaire (6) | trackback (1)


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待ち合わせの時間に間に合わない。 急ぎ足で駅に向かう道すがら、はたと、本をもって » Lire la suite

Trackback par イケスカナイズ : mai 19, 2006 01:00 PM


Commentaires

私も次にカポーティの伝記を読む予定です。
「カメレオンのための音楽」は、普通の書店になかなか置いてなくて。
ネットで注文しようと思ってマス。
これって野坂さん翻訳なんですね。
「誕生日の子供たち」の春樹さん訳と印象がどれだけ違うのか、
読み比べてみたいです。

Posté par うな : mai 17, 2006 05:33 PM

うなさん、こんにちはー。カポーティの伝記ですか!
わあ、伝記を読まれるということは、カポーティを読み込んでらっしゃるんですね。
春樹さん訳は評判がいいので、私もいずれ読んでみたいです。
野坂さんの訳は、もっとアクが強いのかなと思ったんですが、案外読みやすかったですよ。
細かい部分で、やっぱり野坂さんだ~と思いましたが。(笑)

Posté par 四季 [TypeKey Profile Page] : mai 18, 2006 05:46 AM

はじめまして。
勝手にTB とコメントさせていただきました、遠江と申します。

TC がでてくればでてくるほど、フィクションに感じられてしまうという指摘、たしかにそうですね。

ボクは、フィクションだとか、ノンフィクションだとかっていう定義が、テキストの価値にかかわらないというようなことを、強く感じさせられたのですが、それはきっと四季さんが指摘されるようなことを感じてたからなのかもしれません。

Posté par 遠江 : mai 19, 2006 01:00 PM

遠江さん、はじめまして。TBとコメントありがとうございます。

この本を読んで、ノンフィクション・ノヴェルとは一体何なんだろうって考えてしまいました。
フィクションとノンフィクションといえば、本来相反するもののはずだし、どのジャンル分けに迷っても
この2つだけは迷わないだろうと思っていたんですが、どうやらそうではなかったようで…。(笑)
確かに、この本の前では、フィクションだとかノンフィクションだとかいう定義は、ほんの瑣末な問題ですね。
そしてそう思えるのは、やはりカポーティの文章のこの存在感があるからこそなんでしょうね。

Posté par 四季 [TypeKey Profile Page] : mai 20, 2006 04:02 AM

四季さん。

こんにちは。TB とコメントへの返信ありがとうございました。
読まれた本の一覧を拝見させていただいたのですが、すごいですね。
年間に336冊読むって、すごーく理解できない!(賛辞)

あまりにも多すぎるので、ゆっくり拝見させていただきます。
今後ともどうぞよろしくお願いします。

Posté par 遠江 : mai 20, 2006 09:15 AM

遠江さん、こんにちは。
こちらこそありがとうございます&これからよろしくお願いします。

いや、もう、読みすぎですよね。でも自分では止められなくて…(^^ゞ
そんなにたいしたことは書いてないので、適当に流しちゃって下さいね。
じっくり読まれると、私の底の浅さがバレてしまいます。(笑)

Posté par 四季 [TypeKey Profile Page] : mai 21, 2006 05:57 AM



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